2008年2月26日火曜日

下呂 温泉

十津川警部 湯けむりの殺意

長編小説かと思っていたが、意外にも五篇からなる、短編特集であった。いずれも温泉地を舞台にしたもので、短編だけに読んでいても、登場人物が少なく、集中して読みやすい。また、捜査一課の刑事、家族が事件に巻き込まれているものもあり、これが余計に興味を誘う。著者もさすがという感じ。もっとも、十津川警部の推理、犯人は誰かなど、本を読んでいかなければわからないが、読み応えは十分である。五篇のタイトルは次の通り。・道後温泉で死んだ女・黒部トロッコ列車の死・城崎にて、死・恐怖の清流 昇仙峡・下呂温泉で死んだ女

五篇の短編集。どの作品も、温泉に少し関係しているが、すべてが温泉情緒が豊かだという訳でも無い。最も温泉情緒があるのは「下呂温泉で死んだ女」だ。本短編集は、温泉情緒を度外視して読むと、それぞれ面白い。また、捜査一課の刑事のプライベートな部分が、事件に関係してくる。「道後温泉で死んだ女」では、三田村刑事が濡れ衣をきせられる。「黒部トロッコ列車の死」では、亀井刑事の息子氏が事件の被害を受ける。「城之崎にて、死」では、日下刑事が事件に巻き込まれる、などだ。巻末で、本書収録作品と、温泉との関係が、山前譲氏により解説されている。この解説を読むと、十津川警部のこれまでの、温泉における足跡が分かる。読み応えのある短編集だ。

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